『中世』(ちゅうせい)は、三島由紀夫の短編小説。陣中に25歳で夭折した足利義尚を悼む父・足利義政の癒えない悲しみと、二人に寵愛された美若衆|少人・菊若を介した義尚の招魂を絢爛な文体で描いた室町時代の物語で、衆道的モチーフなどに、三島美学の萌芽が垣間見られる作品である。大東亜戦争|戦争中、中島飛行機小泉製作所に勤労動員されていた当時20歳の三島が、赤紙による中断覚悟で遺作として執筆していた小説で、雑誌に初出掲載されたものを読んだ川端康成が賞讃の声を漏らしていたことから、それを頼みの綱に、戦後三島が川端宅へ初訪問するきっかけとなった作品でもある。
『中世』(ちゅうせい)は、三島由紀夫の短編小説。陣中に25歳で夭折した足利義尚を悼む父・足利義政の癒えない悲しみと、二人に寵愛された美若衆|少人・菊若を介した義尚の招魂を絢爛な文体で描いた室町時代の物語で、衆道的モチーフなどに、三島美学の萌芽が垣間見られる作品である。大東亜戦争|戦争中、中島飛行機小泉製作所に勤労動員されていた当時20歳の三島が、赤紙による中断覚悟で遺作として執筆......