『鬼火』(おにび)は、探偵小説家の横溝正史が1935年(昭和10年)2月号と3月号の「新青年」にて発表した作品であり、また、それを表題作とする短編集である。昭和8年(1933年)に横溝が喀血し、信州諏訪にて転地療養中に昭和9年(1934年)の秋から冬にかけて書き上げた。その間、体調のよい日でも一日に3、4枚しか原稿が書けず、過労困憊しながらも、3ヶ月あまりもかけて「鬼火」はようやく書き上げられた。しかし、「新青年」に掲載されるも、描写の一部が当局の検閲に触れ、一部削除を命じられた。昭和10年(1935年)に同タイトルの短編集(春秋社版『鬼火』)に収録の際、......
『鬼火』(おにび)は、探偵小説家の横溝正史が1935年(昭和10年)2月号と3月号の「新青年」にて発表した作品であり、また、それを表題作とする短編集である。昭和8年(1933年)に横溝が喀血し、信州諏訪にて転地療養中に昭和9年(1934年)の秋から冬にかけて書き上げた。その間、体調のよい日でも一日に3、4枚しか原稿が書けず、過労困憊しながらも、3ヶ月あまりもかけて「鬼火」はようや......