『阿部一族』(あべいちぞく)は、森鷗外の短編小説。江戸時代初期に肥後藩で起きた、家中の重職であった阿部一族が上意討ちで全滅した事件を題材に創作され、大正2年(1913年)1月に『中央公論』誌上に発表された。栖本又七郎(作中では「柄本又七郎」)などの証言を元にした『阿部茶事談』を下敷きにしている。前年の大正元年、明治天皇の崩御に乃木希典陸軍大将が殉死して、当時は殉死の是非をめぐる議論がかまびすしかった。前年に発表された鴎外初の歴史小説『興津弥五右衛門の遺書』とともに、当時の時事問題だった殉死を主題にとりあげて書かれた小説である。
『阿部一族』(あべいちぞく)は、森鷗外の短編小説。江戸時代初期に肥後藩で起きた、家中の重職であった阿部一族が上意討ちで全滅した事件を題材に創作され、大正2年(1913年)1月に『中央公論』誌上に発表された。栖本又七郎(作中では「柄本又七郎」)などの証言を元にした『阿部茶事談』を下敷きにしている。前年の大正元年、明治天皇の崩御に乃木希典陸軍大将が殉死して、当時は殉死の是非をめぐる議......