『盗賊』(とうぞく)は、三島由紀夫の最初の長編小説。大学在学中から大蔵省在職時代にかけて書かれた作品である。全6章から成り、1947年(昭和22年)から翌年にわたり、各章が断続的に別々の雑誌に掲載される形で書き継がれ、1948年(昭和23年)11月20日に真光社より単行本刊行された。文庫版は新潮文庫で刊行されている。恋する相手に捨てられ傷つき、自殺を決心した男と女が出会う物語。失恋の苦悩と、新たな出会いから互いの胸の中の幻影を育て合う悲劇的な結末までを、人工的で精緻微妙なタッチで描いたロマネスクな心理小説である。文体などにレイモン・ラディゲの『ドルジェル伯......
『盗賊』(とうぞく)は、三島由紀夫の最初の長編小説。大学在学中から大蔵省在職時代にかけて書かれた作品である。全6章から成り、1947年(昭和22年)から翌年にわたり、各章が断続的に別々の雑誌に掲載される形で書き継がれ、1948年(昭和23年)11月20日に真光社より単行本刊行された。文庫版は新潮文庫で刊行されている。恋する相手に捨てられ傷つき、自殺を決心した男と女が出会う物語。失......